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2018年6月 7日 (木)

言語が失われゆく世界

オランダの大学で英語による講義が少なくなっているそうです。講師や学生がこの状況に危機感を持ち警鐘をならしているとのことですが、この流れは簡単に止まるのでしょうか?

なぜ英語化の流れに反対するのかというと、オランダでオランダ語が高等教育に使われないなどとなれば、子供たちは英語しか学びたがらなくなる可能性があります。高等教育に使うオランダ語というものがなくなってくると、やがてオランダ語の文法や表現も簡素化し、より言語としての魅力はなくなってきます。言語の消滅とは意外にあっさりと進んでしまうものなのです。

現在、アイルランドには30万人のアイルランド語話者がいますが、この言語も消滅の危機に瀕しているそうです。政府はアイルランド語を学校の公用語に指定し、学校ではアイルランド語を使用するように協力に後押しするようにしているのですが、アイルランド語の使用機会の現象を止められていません。アイルランド人はアイルランド語を自然と使わなくなり英語話者が増加しています。

このように言語消滅とは世界のあちこちで起こっているので続く1世紀の間に数百言語を残して後の言語は全て消滅してしまうのではないかと考えている学者もいます。

ここ最近でも顕著に消滅が進んだのが20あったイヌイットの言語で、どの言語も数百人程度の話者がいましたが数十年の間に高齢者しかその言語を使わなくなり、彼らの子供たちはみんな英語を使っているというありさまでした。

子供たちは自発的に多数派の言語を学ぼうとするのです。

他にも、ポーランド、エチオピア、メキシコ、韓国等からアメリカに移住してきた家族などにもこの傾向があるのです。両親が韓国語を話していても子供に英語を学ばせようとしますし、子供たちも英語しか勉強しないといった具合にどんどん吸収されていってしまいます。

韓国ではそもそも高等教育では英語を使う傾向があるので、富裕層は子供を英語圏に留学させて英語を学ばせようとする努力をします。
こうすることでお金のある層しか教育にアクセスできないという歪な状況になっていくのですが…

日本でも大学での教育の英語化を進めようとする動きがかなり強いですが、そんなことでこの国の言語をしっかり守っていけるでしょうか?



世界で使用されている言語の数は7000あります。
その多くは文字を持っていなかったり話者が少なかったりなのですがその言語なりの文化を内包しています。
世界で最も使われている言語を7つ挙げると、最も使われているのは7億人の話者を持つ北京語です。ついでスペイン語、英語、アラビア語、ヒンディー語、ベンガル語、ポルトガル語、ロシア語、日本語です。

日本語はなんとかトップ7に入っています。これらの言語は1億人以上の話者がおり、世界の80%がこの言語にアクセスできます。

ではここで挙がった日本語は安泰なのでしょうか?

日本において大学教育の英語化などというのを今まで以上に推進するなら今後はどうなるかわからないというのが正直なところでしょう。

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感想(1件)

高等教育に英語を使わせるなら英語ばかり勉強させようとする親もいるでしょうし、そうなると海外留学などのコストの負担できる家庭とそうでない家庭で差がついてきます。英語が苦手で高等教育の内容にアクセスできない人、できる人という分断も起こってきます。

英語が話せるか話せないかで国民が二分されるのはまるで中世ヨーロッパでラテン語を話せる層と話せない層で分断されていたのと同じです。

出版物も高度な学術書の翻訳が行われなくなる可能性もあります。
学術書は儲かるものではないですが、大学教育でテキストとして使用されるから翻訳出版という流れが今はあるのに将来どうなるかわかりません。

ゆゆしき事態になりますよね。この問題は中間層の没落させかねない、日本の更なる衰退にも関わってくる話です。

九州大学の施 光恒先生の本が詳しいです。もともと日本は明治期に外国から入ってきた言語の翻訳と土着化で日本語の語彙を飛躍的に増やしました。それが今を生きる私たちには恩恵なのです。

そもそも言葉が多くたって不便なだけじゃないか、という人もいるかもしれません。しかし、言語が内包する文化と人がアクセス出来るかどうかは人間や社会のあり方に大きな影響を与えます。
ジャレド・ダイヤモンドの『昨日までの世界』下巻にはこのようにあります。
「言語的少数派のアメリカ先住民の間においても、みずからの言語や文化を維持し続けている人々がおり、それらの部族においては経済的な発展がみられ、生活保護などに頼る人々も比較的少ない傾向にある。たとえば、チェロキー語で授業が行われる学校で学び、チェロキー語と英語の二言語を話せるようになったチェロキー族の若者は、チェロキー語を話さないチェロキー族の若者よりも向学心にあふれ、高等教育を得て、仕事に就いていて、給与所得も高い傾向にある。伝統的な部族の言語と文化を学んだオーストラリアのアボリジニは、文化的に切り離されたアボリジニよりも、薬物中毒になる可能性が低い。」

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人間は環境に制約された生き物で先人から引き継いだものとどう関わるかでその存在のあり方は変わります。文化、伝統、言語は真剣に向き合わないといけない問題なのです。

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