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2018年6月 3日 (日)

子宮頸がんワクチンの普及のために声をあげよう

ジョン・マドックス賞を受賞した村中璃子氏の『10万個の子宮』は医療従事者たちにも読まれて反響が広がっているようです。

10万個の子宮 あの激しいけいれんは子宮頸がんワクチンの副反応なのか [ 村中 璃子 ]

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感想(1件)

これまで子宮頸がんワクチンはいろいろ騒がれていたけれども何が問題となっているかわからなかったという人がいましたが、今回の出版をきっかけに論点を把握できるようになった人が多いのではないでしょうか。

どこの国でも新たなワクチンが承認されたときは必ずと言ってもいいほど反対する人が出てくるそうです。
そこを医療従事者が正しいデータをもって説明し、間違った情報を否定していくわけですが、日本の子宮頸がんワクチンにおいては騒ぎがおさまらず国家賠償請求訴訟にまで話が進んでしまったのでした。国は積極的な接種勧奨を行わず、接種率が1%程度まで低下してしまったことは由々しき問題です。

子宮頸がんはウイルスによって引き起こされる病気で年間の新たな患者数は約1万、約3千人が命を落とします。

厚生労働省の資料によればワクチン接種が普及すれば年間3千人の死者を900~1800人に減らせるとのこと。仮に副反応リスクがあったとしてもリスクとベネフィットを天秤にかけ正しく評価すれば接種は勧奨して正しく行っていくべきです。

米国の16年9月の調査発表では子宮頸がんワクチンの原因となるヒトパピローマウイルス6、11、16、18型の感染率は3.2%とそれまでの34.9%と大幅に低下していました。ワクチンの効果ははっきりと観察されています。

WHO、米国疾病予防センター、欧州医薬品庁(EMA)はそろって子宮頸がんワクチンは安全であると声明を出しています。積極的な接種の勧奨を行わない日本に対しては何度も名指しで非難がされています。
日本の産婦人科学会も接種を勧奨するべきだと声明を出していますが、なかなか国が前向きにならない状況です。

医療従事者はこのままでは本来必要のなかった子宮の円錐切除や全摘出をいつまでも続けなければいけないのかという暗たんたる思いをしています。

こうした背景にマスコミの報道姿勢も加担しているといっても過言ではありません。

村中璃子氏が子宮頸がんワクチン問題をジャーナリストとして取り扱いジョン・マドックス賞を受賞したのは日本人初の快挙です。ですが、こうした背景に触れたマスコミはほとんど皆無だったと言ってもいいのではないでしょうか。

子宮頸がんワクチンの接種によって重篤な副作用が起きたという「被害者」やそれに「寄り添う人たち」の声については盛んに取り上げ、ワクチンに対する不安をいたずらに煽り立てておきながら、村中璃子氏や医療従事者たちの啓発活動をろくに取り上げようとしないのであれば、不安がいつまでも残ったままになってしまうのではないでしょうか?

今では新聞などは紙面に子宮頸がんワクチンについて肯定的な論者と否定的な論者の主張を両方平気していますが、医療や疫学のことをあまり理解していない多数の読者がそれを目にしても結局よくわからないということで終わってしまうのではないでしょうか。

こういったマスコミの無責任な報道体質には憤りを感じるとしか言えません。最近でもあれだけ騒いでいた豊洲移転問題はすっかり騒がなくなりました。しかし、人が立ち入らない地下空間とやらの微量な有害物質などいったいなんの問題があったのでしょうか?老朽化した不衛生でアスベストを使っている築地市場と新しく衛生的な豊洲市場では圧倒的に豊洲市場にさっさと移転してしまったほうがよかったと言えるでしょう。結局一部の政治家とマスコミが不安を煽り立てただけで豊洲に対する風評が起こり都民は莫大な損失を被ることになったのです。

また、福島県立大野病院事件も昔の話とは言え、マスコミが医療崩壊に加担した事件だったとして忘れることはできません。
04年12月17日、福島県立大野病院で妊婦が帝王切開術中に出血多量で死亡しました。
この件では妊婦は前置癒着胎盤という状態だったことが明らかになっており、状況的に救命が極めて困難だったことは今では明らかになっています。にもかかわらず医療的知識に乏しい警察、検察が逮捕、起訴したことによりマスコミもセンセーショナルな報道を繰り返しました。

このような難しい状況に対処しようとした医師まで逮捕されてしまい犯人であるかのような報道をされてしまうことに震撼したのは医療従事者たちです。その後、産科医療からは撤退が相次ぎ、今の日本でもっとも不足しているのは産科医だと言われています。

この報道に関わった女性キャスターは初公判を傍聴し「私も傍聴していましたが、医療用語が多くてよくわかりませんでした」とテレビで堂々と述べていたとか・・・無責任な報道体質がここでも表れていたのです。

結局、裁判では医師は無罪となり現在では臨床現場に復帰していますが、名誉が十分に回復されたかや医療現場の苦悩が十分に視聴者にあきらかになったかと言えば決してそうではありません。

マスコミが引っ掻き回し、一方的に不安を煽り立てたまま、その後自分たちが言ってきたことに対して何も責任はとらなかったのです。

この大野病院の件が騒がれていた当時、これはおかしいと当時の若手医師たちがインターネットを通じて情報交換し、医師の支援のために協力して活動していました。今回の子宮頸がんワクチンの件でも、また医師たちが主体になって正しい情報発信をしていくことになるのかもしれません。

こうして現場にばかりしわ寄せが来るのはどうしてなのでしょうか。
マスコミが正しい役割を果たすようになる時代は、いつまでたってもこないのかもしれません。

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