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2018年6月10日 (日)

世に訴えかけたワクチン活動家

反ワクチン運動の真実 死に至る選択 [ ポール・オフィット ]

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『反ワクチン運動の真実』は欧米における反ワクチン運動と医療との戦いをあらかた網羅した本です。

そもそも予防接種は天然痘に対してジェンナーという医師が牛の乳しぼりをしている人から牛痘にかかった人は天然痘にかからないという話を聞いたことから、種痘で免疫をつける方法を開発したというところから歴史が始まります。

まあこのジェンナーという人も身内を実験台に使ったりだいぶ変わった人だったみたいですが。

とにかくこの種痘というのも普及し始めはだいぶ大変だったみたいです。
牛の牛痘からワクチンを作るので、「種痘を打ったら体が牛になる」などと言っていた連中がいるそうです。

いつの時代もおかしな人はいるものですね。

もっとも昔の医療は手術の時も消毒しなかったし病気になったらとにかく寫血(体を切って血を出す治療)していたので、問題も多かったわけですが。

何はともあれ人類は種痘を確立することで天然痘を撲滅させたわけです。

まあワクチン普及も紆余曲折があり、村中璃子氏も「新しいワクチンが開発されると絶対に反対する人が出てくる」と反ワクチン運動について言及していました。

日本ではあまり言われないですが欧米ではワクチンによって自閉症になるなどという捏造論文を書いた医師のせいで百日咳や麻疹などの接種率が低下して救えたはずの命が救えなかったという悲劇が何度も起こっているそうです。

毎回テレビに出てきてワクチンの危険を煽り、糖尿病などの慢性疾患になるだとか自閉症になるだとか執拗なまでに繰り返している人がいて、人々に恐怖を与えています。

そんな中、世の中に貢献したワクチン活動家も存在します。

ジョン・サラモネという人です。
彼は大学で政治とジャーナリズムについて学び、政府職員としてのキャリアもありました。
そんなサラモネと息子のデイビッドを悲劇が襲ったのは1990年のことでした。

ワシントン郊外の病院でいくつかのワクチンを接種したデイビッドは、2週間後に体に異変が表れます。

寝返りがうてなくなり、そのまま両足が動かなくなってしまいます。

病院で検査を受けるものの原因が特定できず、右足に麻痺が残ってしまいます。

その後のさらに詳しい検査で、デイビッドは生まれつき免疫の弱い先天性免疫異常であり、その状態で経口ポリオワクチンを接種してしまったためにポリオワクチンによる麻痺が残ったことが判明したのです。

当時、スウェーデン、フィンランド、カナダなどではより安全性の高い不活化ワクチンが使用されており、副作用のリスクを抑えながらポリオを撲滅させていたのですがアメリカではまれに危険な副作用のある経口ワクチンが使われていたのでした。

ワクチンについて事前に聞かされていなかったサラモネはそのことや医師への憤りはあったものの、事実を知り同じような目にあう子供をなくすべく活動を開始します。

彼がしたことは予防接種実施諮問委員会の説得と、米国小児科医師会へのブース出展でした。こうしてサラモネは関係機関への説得を続け、ポリオの予防は経口ワクチンよりも不活化ワクチンを使用した方が安全であるとデータに基づき主張し続けたのでした。

サラモネの活動は、当初は世間や議員からもあまり相手にされなかったのですが、ワシントンポストがサラモネの活動を取り上げたことにより注目を浴びることになったのです。

こうして1998年に予防接種実施諮問委員会は不活化ワクチンを採用したので、弱毒化生ワクチンを原因とする麻痺は無くなりました。

ポリオを予防するためならまれに麻痺を起こす子供がいても仕方がないかのように考えていた政治家達も、サラモネの地道な活動には耳を傾けたのです。

こうした『ワクチン安全活動家』の功績は多大なものがあります。地道な対話やデータに基づく主張が結実したのであって、これはいたずらに不安を煽り、データを無視し、医療者やワクチンを受けさせようとする親を攻撃する反ワクチン活動家とは対照的なものがありますね。



日本でも反ワクチン活動家の悪質さはアメリカには負けていません。

またホメオパシーなる民間療法を信奉する団体は日本にもいて、ワクチンで自閉症になるなどという使い古されたデマを今でも垂れ流しています。

以前の記事でも上げましたが、こうした状況は医療従事者が地道に説得したり、メディアを見方につけないとなかなか打破できないでしょう。

すでに子宮頚がんワクチンについてはメリットを積極的に告知していくという医療機関も出て来ましたので、状況の好転を祈ります。

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